
退去後の“カビだらけの部屋”で保険金55万円が下りた実例
― 1年前の水漏れでも、保険は使えるのか?
こんにちは、ちはや不動産の古宮です。
今回は、退去後の室内がカビだらけになっていた部屋で、建物保険から合計55万円の保険金が下りた実例をご紹介します。
正直、かなりレアなケースですが、
「知っているかどうか」で、オーナー様の手出しが数十万円単位で変わる内容です。
■ 退去後に発覚した、異常なカビの状況
今回の物件は、築年数のあるマンションで、
6年間入居されていたお部屋の退去立会いでした。
入室した瞬間、目を疑う光景。
玄関からすでにカビだらけ
壁紙は剥がれ落ち
天井・壁・キッチン・トイレまで黒カビが広範囲
一方で、居室部分は比較的きれい
明らかに「生活の仕方」だけでは説明がつかない状態でした。
■ 入居者の申告:「数年前、給水管から水漏れがあった」
退去立会い時、入居者からこんな話がありました。
「数年前、玄関側の給水管から水漏れがあって、自分で直しました」
管理会社には連絡なし。
ただ、実際に配管の位置とカビの場所を確認すると、
給水管の裏側が、ちょうど最もカビがひどい
居室は日当たりも良く、きれいな状態
「これは、生活不良ではなく過去の水漏れ起因の可能性が高い」と判断しました。
■ 退去精算はいったん保留 → 建物保険で申請
通常であれば、
入居者過失
経年劣化
オーナー負担
の判断になりますが、今回は慎重に対応。
退去精算はいったん保留
オーナー様に状況を説明
建物保険(火災保険)へ申請
給水管は建物側の設備なので、
入居者保険ではなく、オーナー様の建物保険で申請しました。
■ リフォーム見積:総額 約100万円
申請用に、かなりしっかり見積を出しました。
壁・天井クロス張替
床張替
洗面台交換
トイレ脱着・調査
天井解体調査
合計:約100万円
■ 保険鑑定人の現地調査 → 結果は…
保険会社から鑑定人が現地調査に来ました。
厳しくチェックされたポイントは、
本当に水漏れ由来か
居室との状態の差
配管の交換時期
修理履歴の痕跡
その結果、
調査費用:約3万円
水回り床・天井・壁の一部
→ 約40万円が認定
さらに、
その他名目(残置物処分・諸費用など)
→ 約15万円追加
▶ 合計:55万円の保険金が支給
■ 結果、オーナー様の手出しは大幅に圧縮
もし保険を使わなければ、
入居者に全額請求 → 現実的に不可能
オーナー全額負担 → 約100万円
それが今回、
保険:55万円
残りのみオーナー負担
実質、手出しを半分以下に抑えられました。
経営者・オーナー目線での重要ポイント
ここからが本題です。
① 過去の水漏れでも、保険が使えるケースがある
普通は、
水漏れ → すぐ連絡 → すぐ申請
ですが、今回は**「1年前の水漏れ」**。
それでも、
現場状況
カビの範囲
鑑定人の判断
次第では、十分認定される可能性があります。
② 申請コストはほぼゼロ。やらなければ「0円」
保険申請にかかる費用は、
書類作成:無料
現地立会い:無料
調査費:一部認定
やらなければ、確実に0円。
やれば、数十万円戻る可能性あり。
経営的には「申請しない理由がない」領域です。
③ 嘘・過剰請求は絶対NG(ここは本当に重要)
今回、私たちが守った原則は3つ。
実際に起きた事実のみ申請
過剰な工事項目は入れない
虚偽説明は一切しない
最近、
「管理会社とオーナーが結託して保険金詐欺」
で逮捕されるケースも実際に出ています。
短期的に得して、長期的に信用と事業を失う。
経営者として、ここは絶対に踏み越えてはいけません。
④ 建物保険は「使っても保険料が上がらない」
ここ、意外と知られていません。
自動車保険:使うと翌年高くなる
建物保険:使っても基本的に上がらない
つまり、
「使わない方が損」
な仕組みになっています。
管理会社としてオーナー様に伝えたいこと
今回、オーナー様自身も
「こんなケースで保険が使えるとは思っていなかった」
とおっしゃっていました。
正直、この差は管理会社の知識と経験の差です。
現場を見て判断できるか
保険を思いつくか
鑑定対応できるか
ここができる管理会社は、かなり少数派です。
まとめ:退去トラブルこそ「保険」を疑え
最後に、今回の学びをまとめます。
✔ 退去後に異常な汚損・カビがあったら
生活不良だけで決めつけない
配管・過去トラブルを必ず疑う
✔ 水回り・天井・壁の広範囲汚損はチャンス
建物保険の対象になる可能性大
遡及申請でも認定されるケースあり
✔ 申請してダメならゼロ、通れば数十万円
コストほぼゼロ
リスクほぼゼロ
リターン大
やらないのは、経営判断としてもったいない。
もし、
「これ保険使えるの?」
「退去後の原状回復で困っている」
というケースがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
現場と保険、両方わかる管理会社として、
オーナー様の“手出しを最小化する”お手伝いをしています。