オーナーチェンジ物件で大失敗…退去後に発覚した“買ってはいけない戸建て”の実態の画像

オーナーチェンジ物件で大失敗…退去後に発覚した“買ってはいけない戸建て”の実態

今回は、実際に管理を引き受けた戸建て賃貸物件で起きた、かなり深刻なトラブル事例をご紹介します。

これから賃貸経営を始めようとしている方、特に中古戸建てやオーナーチェンジ物件の購入を検討している方にとっては、非常に参考になる内容です。いわば「反面教師」として、ぜひ最後まで読んでみてください。

今回の物件は、一見すると普通の戸建てです。場所は千葉県船橋市。オーナー様は約1年半前にこの物件を購入し、その後、私たちが新たに管理を任されることになりました。

ところが、入居者の退去後に室内を確認してみると、想像以上に問題が多く、「これはかなり厳しい」と感じる状態だったのです。


物件は“入居者がいる状態”で購入された

まず前提として、この物件はオーナーチェンジ物件でした。

オーナーチェンジとは、すでに入居者が住んでいる状態のまま売買される物件のことです。購入後すぐに家賃収入が入るため、投資物件としては魅力的に見えますが、その一方で大きな落とし穴もあります。

今回のオーナー様も、入居者がいる状態でこの戸建てを購入しました。つまり、実際の室内状況を細かく確認できないまま、表面的な情報と利回りをもとに判断してしまったわけです。

そして退去後、その“見えなかったリスク”が一気に表面化しました。


玄関からすでに違和感…建物のズレを感じる状態

退去立ち会いで現地に行って最初に感じたのは、玄関の開きづらさでした。

ドアの建て付けが悪く、スムーズに開閉できない。さらに、下駄箱も微妙にズレており、細かい部分から建物全体の歪みを感じる状態でした。

こうした違和感は、単なる経年劣化で片付けられるケースもありますが、複数箇所で同時に起きている場合は要注意です。実際、この物件ではその後、もっと重大な問題が見つかります。


地下室に広がっていた湿気・漏水・剥がれた壁紙

この物件には少し特殊な特徴があり、リビングの下に地下室がありました。

実際に入ってみると、まず気になるのは強い湿気と臭いです。空気が重く、明らかに通常の住宅とは違う環境でした。

地下室の奥を確認すると、壁紙は大きく剥がれ、壁際には漏水の跡が見られました。黒い点々も広がっており、湿気によるカビや劣化が進行していることがわかります。水が壁側から浸入し、それによって内装材が傷んでしまっている状態です。

地下室という構造上、もともと湿気リスクは高めですが、それにしてもかなり深刻でした。しかも、この地下室の真上には水回りが配置されており、上階のトイレ周辺にもカビが確認されました。

つまり、地下の湿気だけでなく、水回りの影響も重なって、建物全体に悪影響を及ぼしていた可能性があります。


2階に上がると誰でもわかるレベルの傾き

さらに衝撃的だったのが、2階部分の大きな傾きです。

実際に上がってみると、何も説明されていなくても体感でわかるほど、床が一方向に傾いていました。まるで“忍者屋敷”のような感覚で、坂を上っているように感じるレベルです。

ここまで傾いていると、生活上の違和感だけでなく、建物としての安全性も気になります。ビー玉を置けば転がるだろう、というくらいの状態で、単なる古さでは済まされない印象でした。

室内のクロス自体は比較的きれいで、前入居者も単身男性で丁寧に使っていた様子でしたが、内装がきれいだからといって建物が健全とは限らない、という典型的な例です。


ベランダは腐食、外部には隆起、隣地建物と密着

外回りもかなり厳しい状態でした。

ベランダ面は目に見えてボロボロで、腐食が進んでいました。雨漏りリスクも十分に考えられる状況です。

さらに外部を確認すると、地面の一部に不自然な隆起があり、地盤の異常を疑わせる状態でした。加えて、この物件は隣の建物とほぼ密着している構造になっており、将来的に大きな問題を抱えています。

というのも、このような物件は、もし補修や建て替え、解体をしようとしても、隣地所有者への配慮や承諾が必要になるケースが多く、自由に手を入れにくいのです。

実際、売買業者にも相談したところ、「この状態では引き受けが難しい」「売却もかなり厳しい」といった反応だったそうです。

つまりこの物件は、貸すのも難しい、直すのも大変、売るのも難しいという、まさに八方塞がりの状態に陥っていたのです。


なぜここまでの失敗が起きたのか

一番大きな原因は、購入時に建物調査をしていなかったことです。

戸建て物件を購入する際には、ホームインスペクションや建物調査を入れることがあります。費用はおおよそ10万~15万円程度。決して安くはありませんが、建物の傾きや劣化、構造上の問題を事前に把握できる可能性があります。

今回のオーナー様は、その費用を「もったいない」と感じて調査を見送りました。しかし結果的に、その数十万円を惜しんだことで、何百万円、あるいはそれ以上の損失リスクを抱える形になってしまったわけです。

不動産投資では、購入時のコストを削ることよりも、致命的なリスクを避けることの方がはるかに重要です。


売主への責任追及はできるのか

現在のオーナー様は、売主に対して法的措置も検討しているとのことです。

ただし、ここにも大きなハードルがあります。

仮に「購入時から建物が傾いていた」「売主がそれを知りながら売った」と証明できれば、契約不適合責任などを追及できる可能性はあります。しかし実際には、その証明が非常に難しいのです。

退去した入居者へのヒアリングでも、「いつから傾いていたのかははっきりわからない」「地震のあとに歪みが出た気もする」といった曖昧な証言しか得られませんでした。

つまり、購入時点で不具合が存在していたことを買主側が立証しなければならず、そのハードルはかなり高いということです。

売主が「知らなかった」と主張し、仲介業者も「調査を提案したが買主が行わなかった」となれば、責任の所在を明確にするのは簡単ではありません。


利回りの高さに惑わされてはいけない

この物件は、表面上は非常に魅力的に見える条件でした。

船橋市という立地で、利回りは10%超。今の相場感からすると「かなり良い物件」に見えてもおかしくありません。

しかし実態は、相場より高めの家賃設定、入居をつけやすくするためのフリーレント2か月、敷金礼金なしといった条件で、見かけ上の利回りをよく見せていた可能性があります。

しかも、最寄り駅からの利便性や周辺道路の狭さなど、現地を見れば気づけるマイナスポイントもありました。

数字だけを見ると魅力的でも、現地を見れば「この家賃設定は強気すぎる」「退去後は家賃を下げないと厳しい」と判断できたかもしれません。

不動産投資では、利回りの数字だけで判断すると危険です。
なぜそんな利回りが出るのかを必ず考える必要があります。


さらに気になる“短期売買”の流れ

この物件には、もうひとつ気になる点がありました。

現在のオーナー様の前の所有者は、この物件を約1年しか保有していなかったのです。そのさらに前のオーナーは、新築時から長年所有していたとのことでした。

つまり、長期保有していた元の所有者から売却されたあと、次のオーナーが短期間で手放し、その次に現在のオーナー様が購入している流れです。

この“短期で持ち主が変わっている”事実だけで断定はできませんが、不動産投資の現場では、こうした流れに違和感を持つことは非常に大切です。

何か問題があったから短期で売却されたのではないか。
表面だけリフォームして、収益物件らしく見せて売り抜けたのではないか。

そういった視点を持って調べるべきでした。


今回の事例から学ぶべきこと

今回のケースはかなり極端ではありますが、戸建て投資を考える方にとって重要な教訓が詰まっています。

中古戸建ては、マンション以上に個体差が大きく、地盤、傾き、湿気、接道、隣地との関係など、見落とすと致命傷になるポイントがたくさんあります。

特にオーナーチェンジ物件は、入居中で中身が見えない分、表面的な家賃や利回りに引っ張られやすい傾向があります。しかし、見えない部分にこそリスクが潜んでいます。

もし購入前に管理会社や詳しい人へ相談していれば、あるいは建物調査を実施していれば、この失敗は防げた可能性があります。


まとめ|戸建て投資は「安い」「高利回り」だけで決めない

今回の物件は、退去後に地下室の湿気や漏水、2階の大きな傾き、ベランダの腐食、地盤不安、隣地建物との密着といった深刻な問題が次々に発覚しました。

しかも、修繕も売却も簡単ではなく、法的責任の追及も難しい。まさに、不動産投資で避けたい最悪に近いパターンです。

だからこそ、これから戸建て投資をする方には強くお伝えしたいです。

現地確認は必須。
そして中古戸建てなら建物調査はできる限り入れる。
利回りの高さより、出口まで見据えた安全性を重視する。

この3つを徹底するだけでも、失敗の確率は大きく下げられます。

「安いから」「利回りが高いから」で飛びつくのではなく、
“なぜその条件なのか”を疑うことが、不動産投資では何より大切です。