
無断でペットを飼育され、原状回復費30万円超。退去後に入金がないケースで実際に行った対応と、退去時に必ず確認すべきこと
今回は、実際に退去立ち合いをした物件で起きた、無断ペット飼育による原状回復トラブルについてお話しします。
退去時に室内を確認したところ、壁紙が猫によって大きく傷んでおり、原状回復費用として30万円超を請求することになりました。
ご本人は支払う意思を示していたものの、約束した期日を過ぎても入金がなく、今回は実際にご本人の新居まで訪問する対応を取っています。
この記事では、今回の実例をもとに、
無断ペット飼育による退去トラブルの実態
原状回復費を回収するうえで大切なこと
退去時に必ず確認しておくべきポイント
保証会社に頼り切れない理由
について、現場目線でお伝えします。
今回のケース:無断ペット飼育で原状回復費30万円超
今回の退去立ち合いで確認したのは、無断でペットを飼育していた形跡がある部屋でした。
特に目立ったのが、猫による壁紙の損傷です。
壁紙が大きくめくれ、通常使用の範囲を超える損耗が見られました。
ご本人に状況を確認したところ、
「友人のペットを3日くらい預かっていただけです」
という説明でした。
ただ、室内の状態を見る限り、到底3日程度の一時預かりで生じるレベルではなく、汚れや傷みもかなり進んでいました。
そのため、原状回復費として30万円少々を請求。
ご本人もその場では「支払います」とお話しされていたのですが、支払期限を過ぎても入金がない状態になりました。
支払期限を過ぎても入金なし。実際に現地訪問へ
請求の期日は4月末としていましたが、この記事を書いているのはゴールデンウィーク明けの5月7日。
この時点でも入金が確認できなかったため、今回はご本人の居住先まで訪問することにしました。
現地は新築に近い、かなり立派な物件でした。
建物にはペット用の足洗い場のような設備もあり、見た印象としてはペット可物件の可能性もあるように感じました。
そのため、「友人のペットを一時的に預かっただけ」という説明についても、少し疑問が残る状況です。
もちろん、見た目だけで断定はできません。
ただ、退去時の説明と室内の損傷状況にズレがある場合、管理会社としては慎重に対応していく必要があります。
退去時に最も大事なのは「引っ越し先の住所確認」
今回の件で改めて強く感じたのは、退去時に新居の住所を必ず確認することの重要性です。
実は今回の退去者の方は、解約通知の提出時点で「秋田県」と記載していました。
契約書を見ると、ご実家が秋田県だったため、とりあえず実家の住所を書いていたようです。
しかし、これは要注意です。
実家の住所が分かっていても、そこが保証人の住所ではない場合、そこを起点に回収や請求を進められるとは限りません。
緊急連絡先として親御さんの情報をもらっていたとしても、保証人でなければ法的な意味合いは大きく異なります。
だからこそ、退去時には
新しい住所
その住所を証明できるもの
できれば客観的に確認できる資料
をしっかり押さえることが非常に大切です。
私が退去時に必ずやっている住所確認の方法
私自身、退去立ち合いの場では必ず新居の住所を確認しています。
その際、単に「住所を教えてください」で終わらせるのではなく、その住所を裏付けるものがあるかまで確認するようにしています。
理想は、
新しい身分証
賃貸借契約書
公的な証明書類
などです。
もしそういったものが手元にない場合でも、不動産会社とのメールのやり取りなど、何らかの形で新居が確認できる資料は残っていることが多いです。
最低限、そうしたやり取りを見せてもらいながら、情報の正確性を確認します。
Googleマップでその場確認するのが有効な理由
住所を聞いたら、私はその場ですぐにGoogleマップで確認します。
そして、あえて
「ちょっとこの場所、地図で分かりにくいですね」
というような声かけをすることがあります。
すると、本当に住む予定の方であれば、
「黒い外観の建物です」
「ここを曲がったところです」
「この棟の奥です」
といった具体的な補足が出てきます。
今回の方も、地図上で分かりにくいと伝えた際に、建物の特徴や場所をすぐ案内してくれました。
そのやり取りの時点では、新居住所自体は虚偽ではない可能性が高いと感じていました。
だからこそ、請求後も期日までに入金していただけるだろうと思っていたのですが、結果としては未入金。
現場対応が必要な状況になっています。
保証会社で全部補填できるわけではない
こうした話をすると、
「保証会社が入っているなら何とかなるのでは?」
と思われる方も多いです。
ですが、現実には保証会社で全額補填されるケースはかなり少ないです。
なぜなら、原状回復費の保証にはさまざまな条件があるからです。
たとえば、
退去者本人との精算合意書が必要
本人の署名が必要
原状回復費の上限が家賃の2か月分まで
そもそも対象外となる損傷がある
など、実務上かなり制約があります。
私自身、管理会社として長年この仕事をしてきましたし、以前は仲介業務中心だった時代から退去精算に数多く関わってきました。
その経験の中でも、保証会社だけで全部解決できたケースはほとんどありません。
保証会社は、あくまで最悪の事態に対する「サブの備え」と考えた方が現実的です。
今後の対応:訪問、書面投函、状況確認
今回は住所を把握できていたため、実際に現地まで訪問し、まずは請求書を投函しました。
ここで反応がなければ、今後は状況を見ながら、
複数回の訪問
書面での再通知
居住実態の確認
必要に応じた勤務先への連絡検討
外部専門会社への相談
といった段階的な対応を進めていくことになります。
もちろん、こうした対応は契約内容・法令・個別事情を踏まえて慎重に進める必要があります。
感情的に動くのではなく、記録を残しながら、適切な方法で進めることが大切です。
30万円を立て替えてでも先に工事を進めた理由
今回の原状回復費30万円については、実はすでにこちらで一時的に立て替えをしています。
なぜかというと、退去後の精算でもたついてしまうと、
次の募集開始が遅れる
空室期間が長引く
オーナー様に迷惑がかかる
という問題があるからです。
今回の物件は、もともと私たちが客付けを担当した物件ではありません。
ただ、管理会社として信頼をいただいており、次の入居者さんも決まりそうな状況でした。
そうであれば、原状回復の着工を止めるわけにはいきません。
そのため、リフォーム業者さんには先に費用を支払い、施工を進めてもらいました。
裏を返せば、これは管理会社側が30万円のリスクを先に負っているということでもあります。
だからこそ、ここはしっかり回収していかなければ、単純に赤字になってしまいます。
ゴールデンウィーク明けで単なる支払い忘れならいいのですが…
今回、支払期限がゴールデンウィークと重なっていたこともあり、単純な支払い忘れの可能性もゼロではありません。
もしそうであれば、今後の連絡で解決する可能性はあります。
ただ、意図的に逃げている状態だとすると、片道40分かかる距離を何度も訪問する必要が出てくるため、対応コストも小さくありません。
こうしたとき、最初の段階で
新居住所を押さえているか
実態のある住所か確認できているか
連絡手段が複数あるか
によって、回収のしやすさは大きく変わります。
自主管理オーナーさんにも伝えたい、退去時の重要ポイント
今回の件は、管理会社だけでなく、自主管理をされているオーナーさんにも非常に参考になる内容だと思っています。
特に退去時には、次の点を必ず意識してください。
1. 引っ越し先の住所を必ず確認する
退去後にトラブルが起きた際、相手方の所在が分からないと対応が一気に難しくなります。
2. 住所を証明できる資料まで確認する
口頭だけで済ませず、契約書やメールなど、裏付けのある情報を確認しておくことが大切です。
3. 緊急連絡先と保証人は別物と理解する
親御さんの情報を持っていても、それだけで請求がスムーズに進むわけではありません。
4. 保証会社に過度な期待をしない
保証内容には限界があります。最終的には現場対応や本人交渉が必要になることも多いです。
まとめ:退去時のひと手間が、その後の回収を左右する
今回のケースでは、無断ペット飼育により原状回復費30万円超の請求が発生し、約束の期日を過ぎても入金がないため、実際にご本人の新居まで訪問する対応になりました。
この経験を通じて改めて感じたのは、退去時の確認がその後の回収可否を大きく左右するということです。
特に重要なのは、やはり新居の住所確認です。
そして、ただ聞くだけではなく、その場で確認し、実態のある住所かを見極めることが大切です。
退去精算は、単に請求書を出せば終わる話ではありません。
現場では、こうした一つひとつの確認や積み重ねが、最終的な回収率を左右します。
今後も、こうした現場の実務から見えてくるリアルな話を発信していきたいと思います。
おわりに
これまでYouTubeでは、事務所でホワイトボードを使った知識発信もしてきましたが、最近はこうした現場での実務的な話も積極的に発信しています。
インターネットで調べれば出てくる一般論ではなく、実際の現場でどう判断し、どう動いているのか。
そういった情報にこそ価値があると感じています。
たとえば今回でいえば、
退去時に新居住所をどう確認するか
Googleマップをどう活用するか
相手の説明と実態にズレがあるときにどう見るか
こうした細かな実務は、なかなかネット検索だけでは拾えません。
もしこうした現場目線の話に価値を感じていただけたら、今後の記事や動画もぜひご覧ください。