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退去立ち会い3件を実施|原状回復は「どこまで直すか」の見極めが重要です。

本日の内容は先に動画をご覧頂いた方が、ご理解頂けると思います!


今日は退去立ち会いが3件入っていたため、現場を回りながら、退去後のお部屋をどのようなポイントで確認しているのか、そしてどのような原状回復・リフォーム提案をしているのかをご紹介します。

退去者様には撮影のご了承をいただけなかったため、今回は退去後のお部屋の状態を見ながら、管理会社として何を判断しているのかを中心にお伝えします。

賃貸経営では、退去後に「最低限のリフォームで家賃をやや下げて募集する」のか、あるいは「しっかり補修・美装をして、ある程度高めの家賃で募集する」のか、この判断がとても重要です。

特に築20年前後の物件は、その分かれ目になりやすく、オーナー様のご意向と管理会社の考えをすり合わせながら進めていく必要があります。

今回は、そんな判断がよく表れた3つの退去現場をご紹介します。


1件目:築30年近い物件でも、管理状態次第で印象は大きく変わる

まず1件目の物件です。
こちらは弊社で管理をお任せいただいてから半年ほどの物件で、オーナー様にもかなり手を入れていただいています。

管理変更後には、メールボックスの新設、宅配ボックスの設置、共用部の高圧洗浄などを実施しました。築年数は30年近いのですが、共用部も含めて非常にきれいな状態になっており、全体としての印象はかなり良好です。

今回退去されたのは2階の角部屋。法人契約のお部屋で、入居期間は約1年。転勤による退去ということで、お部屋に不満があって退去されたわけではありませんでした。

室内を確認すると、入居期間が短かったこともあり、全体的に非常にきれいな状態でした。壁紙にも大きな損傷や汚れは見られず、そのままでも十分次の募集に進められるレベルです。

ただ、細かく見ると気になる点もありました。
ひとつは幅木(はばき)の浮きです。

幅木とは、壁と床の境目にある部材で、掃除機などが壁紙に直接当たって傷まないようにする役割があります。

この部分が少し浮いており、補修の対象にはなりますが、退去者様に請求するのは難しい印象です。
通常使用の範囲内で起こる劣化と考えられるため、オーナー様と相談し、部分的に貼り替えるか、接着補修で対応するかを判断する流れになります。

もし貼り替えるのであれば、既存のグレーではなく、壁紙に合わせて白にした方が統一感が出るでしょう。

もうひとつのポイントはエアコンです。
設置年を確認すると2008年製。2026年時点で考えるとかなり年数が経っており、内部洗浄をしてもその後すぐ故障するリスクがあります。

契約上、内部洗浄費用は入居者様負担となっているため、オーナー様の持ち出しなく施工はできますが、あえて洗浄せず、交換を提案した方が良い可能性もあります。

また、今後は省エネ基準の影響でエアコン価格の上昇も予想されるため、早めの交換をおすすめしたいところです。

そのほか、洗濯機用エルボや各種パッキンといった、水回りの細かな部品も確認しました。
こうした部材は安価ですが、劣化を放置すると水漏れにつながり、大きな損害の原因になることがあります。目立った不具合がなくても、古さが見られる場合には交換を検討した方が安心です。

このお部屋については全体的に状態が良く、オーナー様へすぐにご報告し、早めに募集手配を進める流れになりそうです。


2件目:築20年超の物件は「最低限でいくか、しっかり直すか」の判断が難しい

2件目の物件は、数年前に外壁塗装を行っており、外観も整っているアパートです。
宅配ボックスも新設しており、共用部の印象は良好です。

この物件は、実は同じ建築会社の似たようなアパートが3棟並んでいる立地です。ただし、それぞれ管理会社が異なります。

こうした状況では、単に物件そのものだけでなく、共用部の管理状態が入居者様に選ばれる大きなポイントになります。

実際、周辺の類似物件では、ゴミ置き場の管理や放置自転車などが目立つところもありました。一方、弊社管理物件では月1回の共用部清掃を実施しているため、見た目の印象で差別化ができています。

こうした日常管理の積み重ねは、募集時の強さに直結します。

さて、室内ですが、このお部屋は以前「家具・家電付き」で募集されていた物件でした。

ベッド、ソファ、カーテン、テレビ、ローテーブル、照明、掃除機、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機などが設置されており、当時は家賃に上乗せする形で提供されていたようです。現在は管理会社変更に伴い、そのプランは終了しており、家具家電はオーナー様の所有物となっています。

退去後の室内はとてもきれいに使われており、ここでも退去者様の過失といえるような大きな損傷は見られませんでした。

ただし、次の募集に向けては見直したい箇所があります。

まず気になったのが絨毯や布製品の劣化です。
家具付き物件は見栄えの良さが魅力ですが、布製品はどうしても経年で古さが出やすく、黄ばみや使用感が目立ってきます。

特にカーテンやマットレスなどは、クリーニングで再利用できる可能性はあるものの、内見時にマイナス印象を与えるようであれば、撤去や交換も選択肢になります。

一方で、壁紙やエアコンの状態は比較的良好でした。エアコンは2018年製で、まだ交換を急ぐ必要はないと判断しています。契約上、内部洗浄は退去者様負担となっているため、洗浄を行ったうえで次の募集に備える形が現実的です。

この部屋で特に改善が必要だと感じたのは、建具まわりの不具合でした。
シートの剥がれが出ている箇所があり、さらに建具の歪みによって床を擦ってしまっている状態も見られました。

このシリーズの建物では、同様の症状が起こりやすい印象があり、貼り直しや建付け調整は必要な工事です。

また、洗面台にも歪みが見られ、扉の干渉が発生していました。
洗面台全体を交換するとなると7万円前後かかる可能性がありますが、建具だけで済むのか、洗面台本体の歪みなのかは、業者と現地確認しながら見積もりを取る必要があります。

さらに、洗面所や玄関まわりのクッションフロアには、クリーニングで落ちにくそうな黒ずみが見られました。このあたりは交換提案が妥当でしょう。

この物件は、まさに築20年超の難しさが出ている事例です。
外観はまだ十分きれいで、立地や管理状態も悪くありません。

ただ、家賃帯は新築時より当然下がってきています。だからこそ、「最低限の補修だけして家賃も少し抑えて募集する」のか、それとも「洗面台や床まで含めてしっかり手を入れ、見栄えを整えて家賃を維持する」のか、その戦略判断が非常に重要になります。


余談:AIによる退去立ち会いサービスは実際どうなのか

最近は、AIによる退去立ち会いサービスも出てきています。
実際に私もデモで触れる機会がありました。

仕組みとしては、管理会社側が事前に契約情報や退去予定情報を登録し、退去者様自身が室内を動画で撮影、その映像をもとにAIが傷や不具合を判定し、負担割合をある程度算出するというものです。

発想としては面白いのですが、実務で考えると課題もあります。
たとえば、退去者様が非常に協力的で誠実な方であれば成立するかもしれません。

しかし現実には、できるだけ費用負担を避けたいという心理が働くのも自然なことです。そのため、傷が見えにくいように撮影されたり、細かな不具合が記録されなかったりする可能性は十分あります。

また、においや害虫発生のように、動画だけでは判断しにくい問題もあります。
たとえば、料理による強いにおい、生活環境起因の害虫発生、室内の使い方による衛生面の問題などは、現地で実際に確認しないと分からないことも多いです。

そのため、個人的には、法人契約などで責任の所在が明確なケースでは活用余地がある一方で、一般の個人契約に広く導入するには、まだハードルが高いと感じています。


3件目:しっかり家賃が取れる物件は、きっちりリフォームするのが基本

最後の3件目は、見た目はマンションのようですが、構造としては軽量鉄骨の物件です。

種別としてはアパートとマンションの中間のようなイメージで、「コーポ」と呼ばれることもあります。

この物件は築20年ほどですが、1年前に外壁塗装をしているため、外観は非常にきれいで、しっかりした印象があります。オートロックも付いており、立地も良好です。

室内を確認すると、入居期間は3年程度で、大きな過失は見当たりませんでした。
床は多少汚れがあるものの、破損ではなく、通常のクリーニングで十分対応できそうです。

ただし、気になったのは壁紙の黒ずみです。
前の2物件と比較しても、全体的に貼り替え時期に来ている印象がありました。このお部屋については、壁紙の交換を強くおすすめしたいところです。

なぜなら、この物件は立地や建物の印象が良く、**しっかり家賃を取れる「決まりやすい物件」**だからです。

こうした物件で中途半端な原状回復をしてしまうと、本来取れるはずの家賃を逃してしまうことがあります。

そのため、このような物件では、壁紙をきちんと貼り替え、見栄えを整えたうえで適正家賃で募集する、という戦略が合っていると考えています。おそらくオーナー様も同じ考えだからこそ、外壁塗装などにしっかり投資されているのでしょう。


まとめ|原状回復は「修繕の正しさ」だけでなく「募集戦略」が大切

今回、3件の退去立ち会いを通して改めて感じたのは、原状回復は単なる修繕作業ではなく、次の募集戦略そのものだということです。

同じように退去後のお部屋でも、

「ほとんど手を加えず、スピード重視で募集する方が良い物件」
「しっかり費用をかけて、家賃を維持した方が良い物件」

この判断は物件ごとに異なります。

特に築20年前後の物件は、最低限の補修でいくのか、それとも設備や内装まで整えて競争力を高めるのか、判断が分かれやすいタイミングです。

だからこそ、オーナー様のご意向を踏まえつつ、物件の立地・築年数・競合状況・募集家賃のバランスを見ながらご提案することが大切だと考えています。

退去後の原状回復や募集条件でお悩みのオーナー様は、ぜひ一度ご相談ください。
物件の特徴に合わせて、最適なご提案をさせていただきます。