賃貸管理の獲得方法 連載①|創業1年目は「住宅地図×飛び込み訪問」で約400室



当社は創業4期目で、管理戸数は約1200室あります。
自社で建築をしているわけでもない、千葉の一店舗の会社です。それでも「創業4期目でこれだけ管理が取れるのは、なかなかスピードが速い」と、周囲の業者さんやオーナー様から言っていただくことが多いんです。

これまでは大家さん向けの発信が中心でしたが、この連載では不動産業者さんに向けて、僕らがどうやって管理を獲得してきたのか、そのノウハウを包み隠さずお話しします。

【管理を「取る」ノウハウを、なぜ公開するのか】

きっかけは実際にあった出来事です。都内の不動産会社さんが管理されている大家さんが、千葉にも物件を購入された。
その会社さんは都内で一店舗しかやっておらず、千葉の管理は見きれない。そのタイミングでその会社さんから大家さんをご紹介いただいて、管理受託につながりました。提携も何も結んでいない、普通の縁です。

逆のパターンもあります。僕らの取引大家さんが「福岡で買いました」とおっしゃったとき、僕らは福岡の管理会社を調べて「この会社さんなら良さそうですね」と話させてもらったこともあります。
これも提携などなく、自然にやったことです。

不動産業者さんに「ちはや不動産は良い会社だな」と思ってもらえたら、ご紹介いただければ嬉しい。むしろ真似して管理数を伸ばしていただいても構いません。

誠実に大家さんに尽くす管理会社が増えて、どこかの会社さんが退場したとき、その管理の大家さんが次の行き先を探す段階で、僕らも選んでもらえる可能性がある。そう思うと、隠す必要はないんです。

【そもそも「4期目で1200室」って、どれくらいすごいの?】

比較のために、僕の前職の話をします。
私はミニミニという全国チェーンの賃貸会社にいました。あの会社でも「管理を自分たちで取るぞ」と旗を掲げて取り組んでいて、僕のいた千葉店は10年ほどかけて700〜800室。
しかも社内で一番管理戸数の多い店舗でも、1000室ちょっとでした。

大手のブランドも知名度もある状態で、それです。
何もない一店舗の会社が創業4期目で1200室というのは、そのことを考えれば、良いペースで来ていると思っています。

ちなみにこのノウハウ、僕らもいろんなところから情報を寄せ集めて、自分たちで実践しただけです。拾おうと思えば拾える情報なので、隠す必要もありません。

【1年目にやったこと(1)住宅地図を買って、アパートを洗い出す】

では、1期目(1年目)です。

最初にやったのは、住宅地図の購入でした。
住宅地図には集合住宅も含めて建物がほぼ全部載っていて、氏名も書かれています。例えば「鈴木さん」の敷地に「ベルウッド」みたいな名前のアパートが立っていたら、そのオーナーはほぼ間違いなく鈴木さんだ、という具合に、所有者が推定できるんです。

僕らが注目したのは、大家さんの自宅の敷地とアパートがくっついている物件。千葉あたりでは結構多いんです。同じ敷地の中で「ここだけ別所有者のアパートが立っていそうだな」と、地図を見れば分かります。

不動産業に従事している方なら当たり前の話だと思います。
ただ、これを1件1件回って洗い出してきた。
もう本当にマンパワーでやるだけです。

【(2)エリアを分けて、片っ端から飛び込み訪問】

洗い出したら、あとは回るだけです。エリアを分けて、社員全員で飛び込み訪問をしました。

事前の下調べはしませんでした。地図をコピーして「今日はここ」となったらそのまま出発して、歩きながら1件1件。
本来は物件をしっかり調べて「この管理会社だと空室がありそうですね」と伝えた方が成果は上がるはずですが、調べている時間がもったいない。とにかく数です。

1日の件数は、ずっと外出していたので1日50〜100軒くらいは回っていたんじゃないでしょうか。本当は徒歩が一番なんですが効率が悪い。
車だと乗り降りのたびにコインパーキングに止めるのも気になるし、ということで、電動自転車を2台買って回っていました。

今はネット集客が全盛なので、物件の飛び込みはオープンハウスさんなど今も活発にされている会社がありますが、「管理を切り替えませんか」という飛び込みをしている会社は、あまり聞きません。
建築系の大東建託さんなどはまだ頑張っていらっしゃるように見えます。だからこそ、やる価値がありました。

ちなみにこれは僕が会社員時代、入社直後に「こうやって回りなさい」と言われた方法です。それを独立して改めて、社員全員でやりました。

【(3)不在時は「手書きの手紙」+「顔写真入りの名刺」】

訪問時に不在だった場合の対応も決めていました。手紙をポストに投函するんです。

大手さんは綺麗なチラシやダイレクトメールを送ってきます。

だから当社はあえて手書きにしました。「今回、このアパートの件で訪問させていただきました」と、名刺にも手書きで書く。
字が汚い社員もいますが、字の上手さと丁寧に書くことは別の話です。
殴り書きでずらっと書くのではなく、その場できちんと書きました。定型文はありますが、手間は惜しまない、です。

名刺には担当者の顔写真を入れました。管理のパンフレットも「担当者が密にやりますよ」と掲げたものです。一店舗でしかできない強みは、ここにあります。

ポストインする文面もパターンを用意しました。モノクロで入れる場合と、カラーで綺麗なものを入れる場合。宛名は必ず手書きで、「訪問しました」と伝わるようにしたんです。

実は、高齢の方については「チラシにQRコードがあると不審感を持たれてしまう」という、僕の調べたデータもありました。
急に来られて、QRコードなんて読みませんからね。
それでQRコード入りのバージョンと、入れていないバージョンの2種類を作って、とにかく数を当てました。

【(4)「6ヶ月無料」の提案と、密なサービス設計】

サービスの設計もやりました。

ポストインの中に「賃貸管理を6ヶ月無料でやりますよ」というお試しの提案を入れたんです。それからグループLINEを組んで、本当に密にやらせてもらいますよという形にしました。
デジタル名刺も活用しています。QRコードを読み込むと、担当者の写真とプロフィールが全部出てくる仕組みです。

これだけで「他とは違うな」と感じていただけたのか、管理を任せてくれる大家さんもいました。

補足すると、この戦法が刺さるのは投資家さんというより地主さんです。
物件と近くに住んでいる方。千葉はまだ大家さんと物件が近い構図が多いので、このやり方が使えます。
都内など投資家さんが多く、大家さんの所在と物件がまったく違うエリアだと合わないかもしれません。千葉ならではのやり方、と思っていただければ。

【(5)経歴が伝わる「プロフィール」を用意する】

ピンポンして「こんにちは」だけでは、一店舗の不動産会社に管理を任せてもらえるわけがありません。そこで作ったのが、経歴が全部書いてあるプロフィールです。

僕の場合は「1988年生まれ。出身地。高校時代は野球。入社したのは大手の賃貸仲介会社で、この成績、この役歴」と、全部書いたものです。一店舗の不動産会社だけど、しっかりノウハウはある。それで独立してやっている、と伝わる文面ですね。

ヒントをくれたのは、ソニー生命の営業さんでした。
生命保険の営業を受けたとき、その方は自分のプロフィールを出してくれて。見ると「地元が近いんだな」と共通点が分かって、親近感が湧いたんです。ならば僕もやろうと。もともと顔出しは好きではなかったんですが、会社で写真を撮って作りました。

効果は、話を聞いてくれる率が少し上がったかな、です。
それでも大体は門前払い。ただ、これはタイミングと「数打ちゃ当たる」の世界です。創業した当時はコロナ禍で、飛び込み訪問はより敬遠される時代でしたが、大手さんが資本力でWeb広告をやることには太刀打ちできない。だから、逆張りでしか勝てないと考えていました。

社員にも同じものを持たせました。「創業者はこういう人間です」という僕のプロフィールと、「担当はこういう人間です」という自分のプロフィールの2つを持って回っています。幸い、社員も全員が元々大手の不動産会社で経験を積んでいたので、話の中身で困ることはありませんでした。

【1年間の結果:飛び込みで100〜150室、1年で約400室】

この作戦だけで、大体100〜150室を獲得できました。自主管理だろうが他社管理だろうが関係なく、純粋に「ちはや不動産と一般取引をせず、管理を受託しただけ」の数字です。

そこに、独立を知っていた元々のお知り合いの大家さんからの受託が約300室。全部で1年目に約400室まで伸ばせました。

ただ、正直な話、お知り合いの分は営業成果としては当てになりません。
それはご指摘の通りです。今回お話ししているのは、あくまで住宅地図片手の飛び込みで取れた100〜150室のほうです。

【仲介をやめて、管理に特化した】

一般取引(仲介)についても触れておきます。僕らは今、やっていません。

創業して最初の半年間は、自主管理の大家さんの物件紹介をやっていたんですが、どうしても僕らの強みが生かせないし、そこに時間を裂くのがもったいない。今は申し訳ないんですが「募集だけなら良いよ」というご相談にも、何もお手伝いできていない状態です。
半年で完全にやめて、「管理に特化しよう」と決めました。

【1期目の自己評価は100点。反省点もあります】

1期目の自己評価は、100点だったと思っています。

賃貸管理の受託にフルコミットしていた時期ですし、仲介の件数もまだ少なかった。それに、創業してから免許が降りるまで2〜3ヶ月ありました。
その間は会社があっても、不動産の実務が何もできない。
免許が降りたら「管理をお願いします」と言える。
利益もまだ出ていない時期です。それでも「これを取れば、ずっと安定した会社になる」と、とにかくやりました。

反省点は、この作戦だけに特化せず、Web戦略やYouTubeなど、今やっているものを複合的に取り入れるべきだった、という点です。
そうすればもっと早く加速できたはずです。そのあたりは2期目・3期目の話でさせていただきます。

【おわりに】

次回は2期目の話です。1年目に400室まで来た僕らが、2年目に何を変えたのか。お楽しみに。